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選評
課題「晴れる」、日本晴れに集中したのも無理ないようだ、よく相討ちなどと言って、没にする場合もあるが、日本晴れのすがすがしいねらいの視点の変化を鑑賞しながら選出した。
次に「冤罪の晴れ」にも多くの句が寄せられたが、日本晴れにくらべて同想同表現が多かったのは、やはり実体験ではない句想のためであろう。
これに関連して疑惑晴れ、出所とか、塀の外に出るとかは、フィクションにしても、いささか疑義のある内容のものが多い、と言うのは、私は長年、刑務所の篤志面接委員をやっており、現在も、川柳指導に当たっているが、実体験者のそれは表現はともかく、ぎくりさせられることもある、こうした事態を詠むには「虚と実」の間を詠い上げて文芸作品としての価値を高めることが必要である。
「秋晴れ」や「富士の晴れ姿」も多いが、季語によりかかり過ぎると何か「雑俳」臭いので、アングルを変えて欲しい。
胃カメラに限らず、検診の異状なしの気持ちもわかるが、用語の深さを探求する必要がある。
秀吟1、日本における育児の変遷を詠い上げている。半面、高齢化の使い捨て紙オムツも連想させる―五月晴れのすがすがしさ。
秀吟2、ニッポン・ニホン共に可とする日本語であり、白国礼賛。
秀吟3、運命の叫びがさわやかに聞こえる。
関 水華

 

 

 

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